プロ野球の本塁でのクロスプレーは、思わず身を乗り出してしまう場面ですよね。
本塁でのクロスプレーでよく聞くルールとして「コリジョンルール」があります。
実はこのコリジョンルール、名前は知っていても、「何が禁止されているのか」「なぜタイミングだけでは判定できないのか」まで正確に説明できる人は意外と多くありません。
この記事では、コリジョンルールの基本的な意味から、走者・捕手それぞれの禁止事項、セーフ・アウトの判定基準まで、具体的な適用例を交えて分かりやすく解説します。
さらに、混同されやすい二塁での接触プレー(ボナファイドルール)との違いや、2026年から新しくなったリプレー検証との関係についても紹介します。
- プロ野球の「コリジョンルール」の仕組み
- 二塁での接触プレー(ボナファイドルール)との違い
- リクエスト制度との関係
コリジョンルールとは?
「コリジョン」と聞いても、最初はピンとこない人が多いかもしれません。
英語のcollision=「衝突」が語源で、その名の通り、本塁での危険な衝突を防ぐために設けられたルールです。
本塁のクロスプレーでは、走者は何としても得点したい一方、捕手も本塁を守ろうとします。
以前は、走者の体当たりや捕手によるブロックが見られることもありました。
コリジョンルールは、こうした危険なプレーを防ぐため、走者と捕手の双方に一定の制限を設けたものです。
導入の経緯
コリジョンルール導入の大きなきっかけとなったのが、2011年にMLBで起きた捕手の負傷事故です。
サンフランシスコ・ジャイアンツの捕手が本塁でのクロスプレーで走者と激しく衝突し、重傷を負いました。
この一件をきっかけに本塁上での衝突防止が議論され、MLBでは2014年に正式導入。
海外では「バスター・ポージー・ルール」と呼ばれることもあります。
日本でも本塁上の危険な接触プレーが問題となり、NPBでは2016年シーズンから導入されました。
つまり、コリジョンルールの目的は単に「ぶつからないようにする」ことではなく、走者と捕手の双方を危険な衝突から守ることがルールの大きな目的です。

捕手は骨折や靭帯損傷のリスクから守られ、走者側も無理な体当たりで危険なプレーに巻き込まれずに済みます。
従来の「気合と根性で止める・突っ込む」本塁クロスプレーとは、根本的に前提が変わったと言っていいと思います。
公認野球規則6.01(i)「本塁での衝突プレイ」の条文要約
「コリジョンルール」はあくまで通称で、公認野球規則では6.01(i)「本塁での衝突プレイ」として定められています。
細かな条文はありますが、まずは次の2点を押さえておけば十分です。
- 走者側:本塁を狙う走者は、捕手などに接触するために走路を外れてはいけない。外れた場合はアウトとなる。
- 捕手側:ボールを持っていない状態で、走者の走路をブロックしてはいけない。ブロックしたと判断された場合、走者はセーフとなる。
簡単にまとめると、「ボールを持たずに走路をふさがない」「相手に故意にぶつかりにいかない」という考え方です。
この2つが、コリジョンルールを理解するうえでの基本になります。
コリジョンルールは本塁以外にも適用される?
「二塁や三塁での接触プレーにもコリジョンルールがあるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論として、公認野球規則6.01(i)のコリジョンルールは、あくまで本塁でのプレーが対象です。
二塁や三塁での危険なスライディングなどには、別の規定が適用されます。
特に二塁での併殺を防ぐためのスライディングには、いわゆる「ボナファイド・スライド」に関する規定があります。
そのため、
- 本塁での衝突 → コリジョンルール
- 二塁などでの危険なスライディング → 別の規定
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
コリジョンルールの適用基準
コリジョンルールは、単に「本塁でぶつかったら反則」というものではありません。
走者と捕手では禁止されている行為が異なり、それぞれ別々に判定されます。
まずは、両者の基本的なルールを整理しましょう。
| 立場 | 主な禁止事項 |
| 走者 | 捕手などに接触するため、意図的に走路を外れる |
| 捕手・野手 | ボールを持たずに走者の走路をブロックする |
走者の禁止事項(捕手への接触目的での走路変更)
走者側のポイントは、捕手や本塁をカバーする野手に接触する目的で、走路を外れてはいけないということです。
ただし、走路を走った結果として接触してしまった場合まで反則になるわけではありません。
- 走路をそのまま走って接触 → 原則として反則ではない
- 捕手にぶつかるために走路を変更 → 走者アウト
走者側に違反があった場合は、その走者がアウトになるだけでなく、ボールデッドとなり、ほかの走者にも影響することがあります。
具体的には、他の走者がいた場合は接触が起きた瞬間に占有していた塁まで戻されます。

草野球の感覚で言うと、「まっすぐ滑り込んだら結果的に触れた」は問題なし、「わざと弾き飛ばしにいった」はアウト、というイメージが近いと思います。
捕手の禁止事項(ボール保持前の走路ブロック)
捕手側で重要なのは、ボールを持っていない状態で走者の走路をふさがないことです。
「捕手は本塁をブロックしてはいけない」と覚えてしまいがちですが、正確には、ボールを保持していれば走路上でタッチプレーを行うことは認められています。
一方、送球が来る前から本塁前に立って走路をふさいでいた場合などは、コリジョンルールの対象になります。
その場合は、捕手が走路をブロック → 走者セーフ → 得点が認められる という判定になることがあります。
なお、対象は捕手だけではありません。
本塁のカバーに入った投手や野手にも同じ規定が適用されます。
送球を捕るために走路へ入った場合は?
捕手が送球を捕ろうとした結果、やむを得ず走者の走路に入ってしまった場合は、必ずしも反則になるわけではありません。
ポイントは、「最初から走路をふさぐ意図があったのか」「送球に対応した結果なのか」です。
そのため、実際の判定では捕手の位置だけでなく、送球の方向や動きなども含めて判断されます。

捕手が安全な立ち位置を確保するコツは、送球が来る方向に応じてベース前や右寄りで待つことにあります。
まとめ:走者と捕手の違い
コリジョンルールは、次のように覚えると分かりやすいでしょう。
- 走者 → 接触するために走路を外れない
- 捕手・野手 → ボールを持たずに走路をふさがない
- 送球への対応でやむを得ず走路に入った場合は例外あり
このように、走者は「接触する意図」、捕手側は「ボールを持っていたか・走路をふさいだか」が大きな判断ポイントになります。
「タイミングはアウトなのにセーフ」になる理由
野球中継を見ていて本塁でのクロスプレーで、捕手がしっかりタッチしていても、判定がセーフになることがあります。
その理由は、コリジョンルールでは単純なタイミングだけで判定しないからです。
捕手側の反則ならどうなる?
捕手や本塁のカバーに入った野手が、ボールを持たない状態で走路をふさいでいたと判断された場合、タッチのタイミングに関係なく走者はセーフになります。
つまり、捕手が先にタッチしていても、走路を不正にブロックしていればセーフということです。
審判は、捕手がボールを受ける前から走路をふさいでいたのか、送球を捕ろうとした結果として走路に入ったのかなどを確認します。
この事例からも、コリジョンルールは捕手だけでなく、本塁をカバーする野手にも適用されることが分かります。
走者側の反則ならどうなる?
反対に、走者が捕手に接触する目的で走路を外れたと判断された場合は、たとえ本塁に先に到達していてセーフのタイミングであってもアウトです。
走者側の違反では、以下のような扱いになります。
- 走者はアウト、その時点でボールデッド
- 他の走者にも影響する場合がある
つまり、走者が無理に捕手へぶつかりにいくことは、自分だけでなくチーム全体の走塁にも影響する可能性があります。

過去には際どいタイミングで捕手に体当たりする場面がありましたが、このルールによって禁止されました。
接触しただけでコリジョンになる?(例外ケース込み)
ここも重要なポイントで、「本塁で接触した=即コリジョン」ではありません。
たとえば捕手が送球を追った結果、やむを得ず走路に入ってしまった場合は、走路をふさいだことにならないケースがあります。
走者側も同様で、通常の走路を走った結果として捕手と接触しただけなら、直ちに反則とはなりません。
判断のポイントは、「意図的に走路を外れたのか」「送球への対応など、やむを得ない動きだったのか」という点です。
ただし、実際のプレーでは微妙なケースも多く、最終的には審判がプレー全体を見て判断します。
微妙な判定はリプレー検証の対象
本塁でのコリジョン判定は、リプレー検証(リクエスト)の対象になるケースがあります。
そのため、セーフだったプレーが映像確認によってアウトに覆ったり、逆にアウトがセーフになったりすることもあります。
「タイミングはアウトなのにセーフ」という判定を理解するには、タイミングだけでなく、走者と捕手の動きまで見ることが重要です。

ただし、リプレー検証しても微妙な判定となるときがあり、度々ファンの間で議論になることもあります。
【混同注意】コリジョンルールとボナファイドルールの違い
「二塁でのあのプレーもコリジョンだったよね」と思うことがあるかもしれません。
しかし、本塁のコリジョンルールと、二塁などで適用されるボナファイド・スライドルールは別の規定です。
まずは違いを簡単に整理しましょう。
| ルール | 条文 | 主な対象 | 目的 |
| コリジョンルール | 6.01(i) | 本塁 | 本塁上の危険な衝突を防ぐ |
| ボナファイド・スライドルール | 6.01(j) | 主に二塁など | 併殺を妨害する危険な スライディングを防ぐ |
本塁(6.01i)と塁上(6.01j)は別の規定
コリジョンルールは6.01(i)「本塁での衝突プレイ」に定められています。
一方、6.01(j)は「併殺を試みる塁へのスライディング」に関する規定で、一般に「ボナファイド・スライドルール」と呼ばれています。
二塁でゲッツーを阻止するため、走者が野手へ意図的にぶつかるようなプレーを防ぐのが主な目的です。
正しいスライディングと認められるには、基本的に次の条件を満たす必要があります。
- ベースに触れる前からスライディングを始める
- 手や足でベースに到達しようとする
- 本塁以外では、スライディング後にベース上に留まる
- 野手への接触を目的に走路を変えない
また、野手に向かって体を回転させる「ロールブロック」や野手の膝・送球する腕・上半身より高く足を上げて接触を狙う行為も認められません。
違反すると守備妨害となり、走者だけでなく打者走者もアウトになります。
コリジョンルールとの大きな違い
両者の違いは、どこで、何を防ぐためのルールなのかと考えると分かりやすいでしょう。
- コリジョンルール(6.01(i))
- 本塁での危険な衝突を防ぐ
- 走者が違反 → 走者アウト
- 守備側が違反 → 走者セーフになる
- ボナファイド・スライドルール(6.01(j))
- 併殺を妨害する危険なスライディングを防ぐ
- 走者が違反 → 守備妨害
- 走者と打者走者の両方がアウトになる場合がある
つまり、「本塁での衝突」と「塁上での危険なスライディング」は、似ていても判定の仕組みが違います。
実際の適用事例で見る違い
たとえば本塁では、捕手やカバーに入った野手がボールを持たずに走路をふさいでいれば、タイミングがアウトでも走者セーフになることがあります。(コリジョンルールの適用)
一方、二塁で走者が併殺を阻止する目的で野手へ向かってスライディングすれば、守備妨害として走者と打者走者がアウトになる可能性があります。(ボナファイド・スライドルールの適用)
コリジョンルールとリクエスト制度の関係
コリジョンルールの判定を理解するうえで欠かせないのが、リクエスト制度(ビデオ判定)です。
本塁でのクロスプレーでは、捕手がボールを保持したタイミングや走者の走路など、コンマ数秒の動きを正確に確認する必要があります。
そのため、映像による検証が重要な役割を果たしています。
コリジョンルール適用シーンはリクエスト対象
NPBでは2018年にリクエスト制度が導入されましたが、コリジョンルールが対象になったのは2019年からです。
リクエストでは、単純に「タッチが早かったか」だけを見るわけではありません。
主に次のような点が確認されます。
- 捕手がボールを持つ前に走路をふさいでいなかったか
- 走者が接触するために走路を外れていないか
- 送球への対応で、やむを得ず走路に入ったのではないか
その結果、現場でアウトだった判定がセーフに、あるいはセーフがアウトに覆ることがあります。
つまり、リプレー検証で確認されるのは、タイミングだけではなく「コリジョンルール上の反則があったかどうか」です。
2026年からのリプレーセンターでの検証の流れ
2026年シーズンからは、NPBのリプレー検証の仕組みが変更され、東京都内のNPB事務局内に設置された「リプレーセンター」に検証業務が集約されています。
検証は、主に次のような流れで行われます。
- 監督が球審にリクエストを伝える
- 球場からリプレーセンターへ連絡
- センターの審判員が映像を確認
- 検証結果を現地の責任審判へ伝達
- 現地の審判が最終的な判定を宣告
リプレーセンターには、現役の1軍審判員2名と専任オペレーター1名が配置されています。
こうした一元化によって、球場ごとの検証環境や判断のばらつきを抑え、より安定したリプレー検証を行うことが期待されています。
判定を巡った議論・意見書提出
ただし、映像を見れば必ず答えが出るわけではありません。
特に難しいのが、捕手が送球を捕るために動いた結果、走路に入ったケースです。
- 最初から走路をふさいでいたのか
- 送球への対応でやむを得ず入ったのか
- 走者との接触を避けられたのか
こうした状況を映像から判断する必要があるため、判定をめぐってチーム側から意見書などが提出されることもあります。
つまり、リプレー検証によって判定の精度は高められているものの、コリジョンルールには最終的な状況判断が必要なケースも残っています。

SNSなどでも適用される事例かどうか、たびたび議論が巻き起こっています。
2026年から導入されたNPBリプレーセンターの仕組みについてはこちらで解説しています。
👉 【プロ野球】NPBリクエスト制度とは?2026年の変更点とルールを徹底解説!
よくある質問(FAQ)
- Qボールを持っている捕手なら本塁をブロックしてもいい?
- A
はい。捕手がボールを保持していれば、本塁をブロックすること自体は認められます。
禁止されているのは、ボールを持っていない状態で走者の走路をふさぐことです。ただし、捕球後も不必要に危険な接触をすれば、別の問題になる場合があります。
- Q捕手が本塁を隠していたら?
- A
ボールを持っていない状態で、本塁への進路を体でふさいでいた場合は、捕手側の反則となり、タイミングに関係なく走者セーフになることがあります。
- Q走者が滑り込んで接触したら?
- A
接触しただけでは反則になりません。
通常の走路を走った結果として捕手と接触した場合は、基本的に問題ありません。反則となるのは、捕手にぶつかる目的で走路を外れた場合です。
- Q捕手が送球を取るために動いたら?
- A
送球の方向やバウンドに対応した結果、走路に入ってしまった場合は、必ずしも反則にはなりません。
「最初から走路をふさぐ意図があったのか」「守備のためにやむを得ず入ったのか」が判断のポイントです。
- Q一塁・二塁・三塁での衝突もコリジョンルールの対象になる?
- A
いいえ。コリジョンルール(6.01(i))は本塁でのプレーが対象です。
二塁などでの危険なスライディングには、ボナファイド・スライドルール(6.01(j))など別の規定が適用されます。
- Qコリジョンルールはリクエストできる?
- A
はい。2019年からコリジョンルールもリクエストの対象になっています。
映像によって、走者の走路や捕手の位置取りなどを確認し、判定が覆る場合があります。
- Q高校野球でも同じルールが適用される?
- A
はい。高校野球でも公認野球規則6.01(i)に基づいて運用されています。
高校野球での初適用は、2016年3月20日の選抜大会・滋賀学園対桐生第一戦でした。本塁で捕手が走路をふさいだと判断され、走者の得点が認められています。 少年野球については大会や団体によって運用が異なる場合がありますが、基本的には危険な衝突を避け、安全を優先する考え方が重視されています。
まとめ
今回は、NPBのコリジョンルールについて以下を中心に紹介してきました!
- プロ野球の「コリジョンルール」の仕組み
- 二塁での接触プレー(ボナファイドルール)との違い
- リクエスト制度との関係
コリジョンルールは「衝突禁止」ではなく、走者と守備側が安全かつ公平に本塁を争うための規定です。
観戦時は、次のポイントを押さえておけば判定がぐっと分かりやすくなります。
- 捕手・野手:ボールを持たずに走路をふさがない
- 走者:接触する目的で走路を外れない
- 本塁は6.01(i)、二塁などの危険なスライディングは6.01(j)
特に、「タイミングはアウトなのに、なぜセーフ?」という場面では、捕手の立ち位置に注目してみてください。
さらに、リクエスト制度やリプレーセンターによる検証の仕組みを知っておけば、微妙なクロスプレーをより深く楽しめます。
次に本塁での接戦を見たときは、ぜひ「捕手は走路をふさいでいないか?」という視点で観戦してみてください。
コリジョンルールを知るだけで、プロ野球のクロスプレーが今まで以上に面白く見えてくるはずです。
本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
あわせて読みたい関連記事
👉 ロボット審判の仕組みを徹底解説!フレーミング不要?NPB導入の可能性は?
👉 【2026年最新】ベース拡大(統一ベース)で野球はどう変わる?NPB導入の効果を徹底解説!
👉 【プロ野球】NPBリクエスト制度とは?2026年の変更点とルールを徹底解説!
👉 軟式用キャッチャーミットおすすめ10選|草野球で使いやすいモデルを厳選






コメント