日本プロ野球における「殿堂入り」という言葉をご存じですか?野球界で最も名誉ある称号の一つであり、偉大な選手や関係者がその功績を讃えられる制度のことです。
本記事では、日本プロ野球の殿堂入りについて、その歴史や選考基準を詳しく解説するとともに、MLB(メジャーリーグ)の殿堂入りとの違いについても解説していきます!
日本プロ野球の殿堂入りについて詳しく知ることで、毎年の殿堂入り選考をより楽しむことができます!
日本の野球殿堂入りとは?
概要
日本の野球殿堂は、日本のプロ野球などで際立った成績を収めた選手や監督・コーチ、また野球界の発展に大きく貢献した方々の功績を讃え、顕彰するために創設されました!
1959年に創設され、殿堂ホールは東京ドーム内に併設されている野球殿堂博物館にあります。
アメリカ野球殿堂に倣って、殿堂入りされた方々の表彰レリーフ(ブロンズ製胸像額)が展示してあります。
野球殿堂入りには、「競技者表彰」と「特別表彰」があり、2025年時点での殿堂入りの人数は以下のとおりです。
- 競技者表彰:107名
- 特別表彰:115名
競技者表彰はさらに「プレーヤー表彰」と「エキスパート表彰」の2種類があります。
プロ野球で活躍した選手、監督・コーチの功績だけではなく、野球界全体への貢献を評価されるため、他の賞では得られない「生涯を通じた栄誉」となります。
選考基準・選考方法
それぞれの表彰項目での殿堂入りの選考対象者となる基準および選考方法を紹介します!
なお、殿堂入りの競技者表彰における選考では明確な成績基準はありません。
競技者表彰:プレーヤー表彰
- 対象者
- プロ野球の現役引退から、5年以上経過した人
- その後、15年間が殿堂入りの選考対象となる期間
- 投票要件
- 野球報道に関して15年以上の経験を持つ人が投票(2025年では353名)
- 選出方法
- 75%以上得票した人が殿堂入りとなる
競技者表彰:エキスパート表彰
- 対象者
- 監督・コーチを退任後6か月以上経過
- または21年以上前にプロ野球の現役を引退した人
- 投票要件
- 殿堂入りした人、競技者表彰委員会の幹事と野球報道年数30年以上の経験を持つ人が投票(2025年では152名)
- 選出方法
- 75%以上得票した人が殿堂入りとなる
特別表彰
- 対象者:次の条件のいずれかを満たしている人
- アマチュア野球を対象に、選手は現役引退から5年以上、指導者は退任後6カ月以上経過した人
※選手が引き続き指導者となった場合には、現役引退とは見なされません。 - NPBおよびアマチュア野球の審判員を引退後6ヶ月以上経過した人
- プロ及びアマチュア野球の組織や管理に貢献した人、またはしている人
- 野球に関する文芸・学術・美術・音楽等の著作物を有する人や、報道関係者としての実績がある人
- アマチュア野球を対象に、選手は現役引退から5年以上、指導者は退任後6カ月以上経過した人
- 選考要件:対象者のうち次の要件を2つ以上満たしている人
- アマチュアの選手として、顕著な功績をあげた人
- 審判員として、顕著な功績をあげた人
- 選手の指導、後進の育成、技術の発展に顕著な功績をあげた人
- 日本野球の組織や大会等の発展に顕著な功績をあげた人
- 国際交流を通じ、国内外において、野球振興に顕著な功績をあげた人
- 国民的関心の拡大と理解の深化により、野球の底辺拡大に顕著な功績をあげた人
- 野球文化の発展、魅力の発信に顕著な功績をあげた人
引用:野球殿堂博物館
- 投票要件
- NPBの関係者、社会人野球および学生野球団体の役員、野球関係学識経験者ら計14名
- 選出方法
- 75%以上得票した人が殿堂入りとなる
各表彰項目とも投票者の3分の2以上の得票が必要となることからも、殿堂入りのハードルの高さがうかがえます。
また、投票者1名につき複数人の名前を記載して投票することから、有力な候補者が複数いた場合は票が割れる可能性もあります。(ただし、該当者なしとなったことはほとんどありません。)
2025年の新規殿堂入りリスト
2025年に新たに殿堂入りを果たした4名を紹介します!
- 競技者表彰:プレーヤー表彰
- イチロー氏
- NPBで9シーズン、MLBで19シーズンにわたりプレー
- 日本では3度のMVPや7度の首位打者、MLBでも新人王やMVP、2度の首位打者といった個人タイトルを獲得
- 2004年には262安打のMLBシーズン最多安打記録も樹立
- 岩瀬仁紀氏
- 2004年から14年まで、11年連続で20セーブ以上をあげ、最多セーブを5回獲得
- 1002登板、407セーブは日本記録
- イチロー氏
- 競技者表彰:エキスパート表彰
- 掛布雅之氏
- 現役時代を過ごした阪神タイガースで3度の本塁打王を獲得
- チーム初の日本シリーズ制覇にも貢献し、「ミスター・タイガース」と称された
- 掛布雅之氏
- 特別表彰
- 富澤宏哉氏
- 審判員として歴代2位の通算3775試合に出場
- アメリカ合衆国で最新の審判技術を学び、日本のプロ・アマの審判技術向上に貢献
- 富澤宏哉氏
MLBの殿堂入りとの違い
MLBの殿堂入りとの違いを解説していきます!(※主に選手に関する内容を比較しています。)
日本とMLBの殿堂入りの比較
日本 | MLB | |
---|---|---|
創設年 | 1959年 | 1936年 |
対象者 | 引退から、5年以上経過 | MLBで10年以上実績がある 引退から5年以上経過 |
資格の喪失 | 選考から15年が経過した場合 | 得票率が5%を下回った場合 選考から10年が経過した場合 |
選考基準 | 明確な成績基準はなし | 明確な成績基準はなし |
投票者 | 野球報道に関して15年以上の経験を持つ人 | 全米野球記者協会に在籍10年以上の記者 |
選出方法 | 75%以上の得票 | 75%以上の得票 |
MLBの野球殿堂入りとは?
MLBの野球殿堂は、MLBで顕著な活躍をした選手の功績を称えるものです!
10年以上プレーした選手のうち、引退後5年以上が経過した選手が対象になります!
詳細は以下の記事で紹介していますので、ご覧ください。
まとめ
今回は、日本の野球殿堂入りについて以下の点を中心に解説してきました!
- 概要
- 選考基準・選考方法
- MLBの殿堂入りとの違い
殿堂入りした人には以下が贈呈されます。
- 野球殿堂博物館に掲げられるレリーフ(銅製胸像額)のレプリカ
- 賞金100万円
毎年、オールスターゲームの1試合に招待され、試合を中断して表彰式が行われます!
日本プロ野球の殿堂入りは、その厳格な選考基準と、現役時代の成績だけでなく野球界全体への貢献が評価される点からも、この制度の重みが感じられます。
今後、野球界で最も名誉ある称号である殿堂入りをどの選手が果たすのか楽しみですね!
本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
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