「あれ、なんで審判がヘッドセットをつけて話してるの?」——中継を見ていて、そんな疑問を感じたことはないでしょうか。
2026年、NPBのリクエスト制度が大きく変わりました!
これまで各球場で行われていたリプレー検証が、東京に新設された「リプレーセンター」に一本化ました。
「制度が変わったのは知っているけど、何が変わったのか分からない」という方も多いかもしれません。
そもそもリクエスト制度についても、何回まで使えるのか、誰が要求できるのか、どんな判定が対象なのかなど、説明するのは意外と難しいものです。
この記事では、NPBのリクエスト制度の基本ルールから、2026年に導入されたリプレーセンターの仕組み、MLBとの違いまで、分かりやすく整理して解説します。
「今の判定、リクエストで覆るかな?」と予想しながら、プロ野球観戦をもっと楽しめるようになるはずです。
- プロ野球の「リクエスト制度」のルール
- リプレーセンターの仕組み
- MLBとの違い
NPBの「リクエスト制度」とは?
野球中継で、監督がダグアウトから出てきて両手で四角を描くようなジェスチャーをする場面を見たことはないでしょうか。あれが「リクエスト」の合図です。
正式には、2018年にNPBが導入した映像による判定確認の制度で、審判の判定に納得できない場合、監督が映像での再確認を求められる仕組みです。
「何回まで使える?」「誰が要求できる?」「どんなプレーが対象?」など、意外と細かいルールまでは知らない方も多いでしょう。 まずは制度の基本から見ていきます。
導入された目的・経緯
リクエスト制度が導入された背景には、肉眼だけでは判断が難しいプレーが増えたことがあります。
際どいクロスプレーや外野の捕球など、審判の目視だけでは正確な判定が難しい場面は少なくありません。
テレビ中継のスロー映像で、観客が先に判定の誤りに気づくケースもありました。
NPBでは、もともと2010年にホームランの判定に限ってビデオ確認を導入。
その後、対象を広げる形で2018年シーズンから現在の「リクエスト」制度がスタートしました。
MLBでは同様の制度を「チャレンジ」と呼びますが、NPBでは「リクエスト」という名称が採用されています。
これは、監督が審判に「挑戦する」という印象を避けるための配慮ともいわれています。

「ビデオ頼みになると審判の技術向上につながらないのでは」という意見もありましたが、判定の正確性と試合の公平性を重視して制度化されました。
リクエストは誰が要求できる?
リクエストを要求できるのは、監督だけです。
選手やコーチが監督にリクエストを促すことはできますが、実際に要求するかどうかは監督が判断します。
このルールによって、選手やコーチが個別に審判へ抗議するのではなく、チームとしての意思決定を監督に一本化できます。
なお、判定に納得できない場合でも、リクエストをせずに抗議することは別の話です。リクエストと抗議の違いについては、後ほど詳しく解説します。

野球中継を見ていても、際どいプレーでは選手が監督にリクエストを促すような仕草がよく見られます。
リクエスト制度のルール
リクエスト制度は知っていても、「何回まで使える?」「どんな判定が対象?」など、細かいルールまでは意外と知らない方も多いでしょう。
ここでは、回数制限・対象プレー・検証時間・判定後の抗議について、観戦時に役立つポイントを整理します。
1試合あたりの回数制限
リクエストは1試合につき各チーム2回までが基本です。
ただし、リクエストによって判定が覆った場合、そのリクエストは回数として消費されません。
反対に、検証後も判定が変わらなければ1回分が消費されます。
また、延長戦に入った場合は、両チームに新たに1回のリクエスト権が与えられます。
つまり、9回までに使い切っていても、延長戦ではもう一度リクエストを使えるということです。
対象になるプレー
リクエストの主な対象は、アウト・セーフやフェア・ファウルの判定です。
そのほかにも、以下のようなプレーが対象になります。
- 本塁でのコリジョンルールに関する判定
- 併殺を妨害する危険なスライディング
- 走塁妨害
- 頭部への死球に関する判定
- 完全捕球かどうかの判定
たとえば外野手がダイビングキャッチをしたものの、捕球後にボールをこぼしたような場面では、完全捕球だったかを映像で確認できます。
対象にならないプレー
一方、ストライク・ボールの判定はリクエストの対象外です。
そのため、「今の球はストライクじゃないだろう」という判定をリクエストで覆すことはできません。
そのほか、リクエストの対象外となる主な判定は以下のとおりです。
- ハーフスイングの判定
- 自打球
- ボーク
- インフィールドフライ
- 塁審より前方で起きた打球の判定
なお、ハーフスイングについては、リクエストとは別に球審が塁審へスイングの確認を求めることがあります。
また、死球については、ストライク・ボールの判定とは切り離されていて頭部への死球に関する判定は対象となります。
MLBではストライク・ボールの判定に対して確認を要求することができるようになりました。
👉 ロボット審判の仕組みを徹底解説!フレーミング不要?NPB導入の可能性は?
検証にかかる時間の上限
リクエストをすると、試合はいったん中断して映像を確認します。
検証時間には5分以内という上限があり、その間に判定を覆す明確な証拠が確認できなければ、元の判定のまま試合が再開されます。
つまり、リクエストをしたからといって必ず判定が変わるわけではありません。
判定を覆すには、映像による明確な根拠が必要です。

映像上は判定が覆るように見えていても、根拠がないとしてそのままの判定になる場合も多々あります。
リクエスト後の判定に抗議できる?
結論からいうと、リクエストによるリプレー検証後の判定に対して、抗議することはできません。
映像による検証を終えて出された判定が、最終的な判定となります。
その判定に対して監督や選手が抗議を続けた場合は、退場処分の対象になることもあります。
リクエストは「もう一度判定してもらう制度」ではなく、映像を確認したうえで最終的な判定を確定させるための制度と覚えておくと分かりやすいでしょう。

球場内に流れる映像を見て受ける印象と、検証結果が違うこともあり、実際に検証後に抗議して監督が退場になったケースもあります。
【2026年最新】リプレーセンターで何が変わったのか
2026年からNPBでは、リクエストの映像検証を行う場所が各球場から東京都内の「リプレーセンター」へ変更されました。
リクエストの回数や検証時間など、基本的なルールは大きく変わっていません。
変わったのは、主に「誰が・どこで・どのように映像を確認するのか」という運用部分です。
リプレーセンターを導入した理由・目的
これまでのリクエストでは、判定を下した審判員を除く、同じ試合を担当する審判員3名が球場内で映像を確認していました。
しかし、この方式には大きく2つの課題がありました。
- 第三者性:同じ試合を担当している審判員が検証するため、完全に独立した立場とは言い切れません。
- 映像環境の違い:球場や放送局によって使用できる映像や設備に差があり、検証環境を統一しにくいという問題がありました。
そこで2026年からは、試合とは無関係の審判員がリプレーセンターで検証する方式に変更。
第三者による判定と、統一された映像環境を実現することが導入の大きな目的です。
これまでの「球場ごとの検証」との違い
変更点を簡単に比較すると、次のようになります。
| 項目 | 2025年まで | 2026年から |
| 検証場所 | 各球場 | 東京都内のリプレーセンター |
| 検証担当 | 当該試合の審判員3名 | 試合に関係しないセンター常駐の審判員2名 |
| 映像操作 | 中継映像を確認 | オペレーターが専用システムで操作 |
| 映像環境 | 球場ごとに設備差あり | 全試合共通の環境・専用アプリで検証 |
| グラウンドの審判 | 控室で検証 | グラウンドに残って結果を宣告 |
つまり、リクエストの基本ルールではなく、映像検証の仕組みそのものが大きく変わったと考えると分かりやすいでしょう。
リプレーセンターの体制
リプレーセンターではモニターが6台設置されており、1軍審判員2名と映像オペレーター1名が役割を分担して検証します。
オペレーターが専用のアプリでスロー再生やコマ送り、映像の拡大などを行い、審判員は映像を確認して判定に集中できるようになっています。
これまでのように審判員が限られた中継映像を確認するのではなく、必要な映像を効率よく確認できる環境が整えられたわけです。
また、全試合を同じ環境で検証することで、球場による検証環境の差を小さくできることも大きなメリットです。
検証の流れ
実際にリクエストが行われると、検証は次のように進みます。
- 監督が球審に「四角」のジェスチャーでリクエストを申告
- 球場の控え審判がリプレーセンターへ連絡
- センターの審判員が映像を確認
- センターの審判員が判定(維持・変更)を決定
- ヘッドセットを通じて球場へ結果を伝達
- 球場の責任審判が最終判定を宣告
中継で審判員がヘッドセットをつけて話しているのは、この新しい仕組みのためです。
なお、リクエストの回数や検証時間などの基本ルールは従来と同じです。
センターが利用できない場合に備え、球場内で検証するバックアップ体制も用意されています。
導入後の実績データ
リプレーセンター導入後は、検証時間の短縮も報告されています。
5月25日までの集計ではリクエストが179件あり、平均検証時間は従来より約30秒短縮されたとされています。
1回あたりではわずかな短縮に見えても、シーズンを通して積み重なれば、試合時間の短縮につながる可能性があります。
このように2026年のリプレーセンター導入は、単に「検証場所が変わった」だけではありません。
第三者性・映像環境・検証の効率化をまとめて改善する取り組みといえるでしょう。
ちなみに、今シーズンからは統一ベース(約38.1cm四方から約45.7cm四方へ拡大)も同時に導入されており、2026年シーズンの目立ったルール変更のひとつになっています。
👉 【2026年最新】ベース拡大(統一ベース)で野球はどう変わる?NPB導入の効果を徹底解説!
MLB・KBOとの比較
NPBのリクエスト制度は、MLBの「チャレンジ」を参考に導入された制度です。
ただし、映像環境や回数、検証方法には大きな違いがあります。
MLB・KBOとの違い
MLBでは2014年から、ニューヨークの専用施設で映像検証を行う「チャレンジ制度」が始まりました。
NPBとの最大の違いは、検証に使う映像の量と質です。
MLBでは各球場に独自カメラを設置し、多角的な映像を使って検証します。
一方、NPBは基本的に球団や放送局が用意する中継映像を利用するため、カメラの台数やアングルには球場ごとの差があります。
また、リクエストの回数にも違いがあります。
NPBは1試合2回まで(延長で1回追加)なのに対し、MLBは成功すればチャレンジ権を維持できる仕組みです。
韓国のKBOも2017年からソウルの判読センターで映像検証を行っており、独自カメラと中継映像を組み合わせて多角的に確認しています。
さらに、検証映像や判定根拠、所要時間を公式サイトで公開している点も特徴です。
| 項目 | NPB | MLB | KBO |
| センターの場所 | 東京都内 | ニューヨーク | ソウル |
| 開始年 | 2026年 | 2014年 | 2017年 |
| 主な映像 | 球団・中継映像 | 独自カメラ | 独自カメラ+中継映像 |
| 検証体制 | 審判員2名 | 専門審判員 | 審判員出身スタッフ |
| 大きな特徴 | 集中検証 | 多角的な映像 | 検証内容の公開 |
こうして比較すると、NPBはMLBやKBOに比べて後発であることが分かります。
一方で、2026年のリプレーセンター導入によって、検証場所や担当者を一本化できたことは大きな前進です。
今後の課題
リプレーセンターを設置したことにより、既存の中継映像を活用しながら、試合に関係しない審判員が統一された環境で判定する仕組みへと変わりました。
一方で、課題は映像ソースの限界です。
独自カメラを多数設置しているMLBやKBOと比べると、NPBは各球場の中継映像を利用しているため、カメラの台数や性能、アングルに球場ごとの差があります。
さらに、KBOのような判定根拠の公開・検証プロセスの可視化も今後の課題です。
リプレーセンターによって判定の精度は一段階向上しましたが、今後は「より多くの映像をどう確保するか」「判定の根拠をファンにどう伝えるか」がポイントになりそうです。

将来的には、専用カメラの増設や多角的な映像の導入、判定根拠の公開などが期待されています。
よくある質問(FAQ)
- Qなぜ試合が止まるの?
- A
リクエストが行われると、映像検証が終わるまで試合は一時中断します。
これは、判定を覆すだけの明確な証拠があるかを確認するためです。
検証時間は原則5分以内。決定的な映像が確認できなければ、元の判定のまま試合が再開されます。
なお、2026年からはリプレーセンターで検証する方式に変わり、平均検証時間も短縮されています。
- Q判定が覆らないとどうなる?
- A
映像を確認しても判定を覆すだけの証拠がなければ、当初の判定がそのまま採用され、リクエスト権を1回消費します。
「明らかに際どかったのに覆らなかった」という場合も、判定が間違っていたという意味ではなく、覆すだけの決定的な映像が確認できなかったと考えると分かりやすいでしょう。
また、リクエスト後の判定に対して抗議することは認められていません。
- Q判定が覆ったら回数は戻る?
- A
はい。リクエストによって判定が覆った場合、リクエスト権は消費されません。
反対に、検証しても判定が変わらなければ1回分を消費します。
そのため、「1試合2回まで」というのは、実質的には判定が覆らなかった検証を2回まで行えるという意味です。
- Q選手からリクエストできる?
- A
リクエストを要求できるのは監督だけです。
選手やコーチが監督にリクエストを促すことはできますが、最終的に要求するかどうかは監督が判断します。
選手がベンチに向かって四角のジェスチャーをするのは、「リクエストしてほしい」というアピールです。
- Q審判が自分の判断でリプレー検証をすることもある?
- A
あります。監督からリクエストがなくても、審判団が必要と判断した場合に自主的な映像確認が行われるケースがあります。
代表的なのが本塁打に関する判定です。
この自主検証は、チームのリクエスト回数にはカウントされません。
- Qこのリプレー検証、プロ野球以外でも導入されている?
- A
はい。映像による判定確認は、アマチュア野球にも広がっています。
社会人野球や東京六大学野球などでも導入が進んでおり、高校野球にも採用されるなど、映像を使って判定の正確性を高める流れは広がっています。
まとめ
今回は、NPBのリクエスト制度について以下を中心に紹介してきました!
- プロ野球の「リクエスト制度」のルール
- リプレーセンターの仕組み
- MLBとの違い
NPBのリクエスト制度は、2018年の導入から対象プレーを広げ、2026年には検証の舞台がリプレーセンターへと移りました。
基本ルールである「1試合2回」「検証時間5分以内」は変わらず、大きく変わったのは「誰が」「どこで」映像を確認するのかという運用面です。
まずは、「回数」「対象プレー」「2026年の変更点」の3つを押さえておけば、リクエスト制度の基本は十分理解できます。
中継で監督が四角のジェスチャーを見せたときは、この記事で紹介したルールを思い出してみてください。
「今の判定は覆るのか?」と予想しながら観戦するのも、プロ野球の楽しみ方の一つになるはずです。
本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
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