MLBのドラフトは、メジャーリーグ各球団が将来の戦力を獲得するために行われます!
大学生や高校生を中心に、毎年600人程度が指名される大規模な制度として知られています!
近年は大学生指名の増加や投手偏重など、ドラフト戦略にも明確な傾向が見られます。
本記事では、MLBドラフトの仕組みからNPB(日本プロ野球)のドラフト会議との違いまでを分かりやすく解説していきます!
- MLBのドラフトの仕組み
- NPBのドラフト会議との違い
MLBのドラフトとは
MLBのドラフトは正式に「ファースト・イヤー・プレイヤー・ドラフト」と呼ばれ、高校生や大学生などアマチュア選手を各球団が指名し、プロ契約を結ぶ制度です!
一般に「MLBのドラフト」と言えば本制度を指し、ルール5ドラフトとは目的や対象が異なります。

MLBには「ファースト・イヤー」と「ルール5」の2種類のドラフトが存在します!
背景・目的
MLBドラフトは1965年に導入され、資金力のある球団による有望選手の独占を防ぎ、リーグ全体の戦力均衡を図ることが目的です!
当時、ヤンキース一強状態が続いた反省から、成績下位球団が有利に指名できるウェーバー方式が採用されています。
また、代理人交渉の一般化により契約金が高騰したため、交渉期限やスロット額を設定しています!
2012年以降は「ボーナスプール制度」を導入し、契約金総額に上限を設けています。
開催日程
MLBドラフトは現在、毎年7月のオールスターウィーク期間中に3日間開催されます!
1987年以降は年1回開催となり、2021年からはイベント性を高める目的でオールスターと同時期に実施されています。
ドラフト候補選手が参加する「MLBドラフトリーグ」も創設され、注目度が年々高まっています!

MLBドラフトリーグは6月初旬から9月初旬まで行われるため、選手にとってはドラフト直前のアピールの場となります!
MLBドラフトの仕組みと指名の流れ
指名対象選手
MLBのドラフトで指名対象となるのは、以下の条件を満たす選手となります!
- アメリカ・カナダ・プエルトリコに居住し、高校・大学・ジュニアカレッジ(2年制大学)・独立リーグに在籍する選手
- 高校生:卒業(見込み)かつ進学しない選手
- 4年制大学:在学3年以上または21歳以上
- 過去にMLB球団と選手契約を交わしていないこと

日本のような「プロ志望届制度」はなく、条件を満たせば自動的に対象になります!
指名ラウンド数と全体の流れ

MLBドラフトは2021年以降、全20巡構成で実施され、1球団あたり最大20名を指名可能です!
1巡目は「通常指名→PPI指名→QO補償指名→戦力均衡ラウンドA」と続き、2巡目後にも戦力均衡ラウンドBやQO補償指名が挿入されます。
QO補償指名やPPI指名により、実際の指名順は単純な巡目順にならないのが特徴です。
完全ウェーバー制+ロッタリー制度

MLBドラフトは完全ウェーバー方式を採用し、原則として前年成績の悪い球団から指名します!
ただし2023年以降は、タンキング抑止のため、ポストシーズン未進出の18球団によるロッタリー抽選で全体1〜6位の指名順を決定します。
ロッタリー抽選は、前年のウインターミーティングで開催されます。

前年最下位でも必ず1位指名できるわけではなく、運要素が加わっています!
PPI指名
「PPI指名」とは、Prospect Promotion Incentive(プロスペクト・プロモーション・インセンティブ)制度による追加ドラフト指名権のことです!
特定条件を満たすトッププロスペクト(若手有望選手)の選手が、直前シーズンの開幕から2週間以内に26人枠に登録され、1年を通してMLBでプレーした場合、「PPI資格選手」となります。
PPI資格選手がルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)を獲得する、またはサイ・ヤング賞かMVP投票で3位以上となった場合、球団は1巡目終了直後の指名権を追加獲得できます!

年俸調停権獲得前に条件を満たすことで指名権を獲得できます!
QO補償指名
クオリファイング・オファー(QO)を提示したFA選手が他球団と契約した場合、元球団は補償指名権を獲得します!
一方、獲得球団は2巡目や5巡目指名権を失うなどのペナルティを受けます。
補償指名の順位は収益分配状況や贅沢税超過の有無で細かく変動します。
戦力均衡ラウンド
戦力均衡を目的に、収益が少ない球団には戦力均衡ラウンド(CB(Competitive Balance)ラウンド)が与えられます!
CBラウンドは1巡目後(ラウンドA)と2巡目後(ラウンドB)の2回実施されます。
- 対象球団は市場規模下位10球団または球団収益下位10球団のいずれかの対象球団から抽選で選出
- CBラウンドA・Bの指名順は、前年の勝率上位順で決定
- 唯一トレード可能なドラフト指名権
ドラフト指名後の契約ルール
スロットバリューとボーナスプール
MLBドラフトでは、1~10巡目までの指名順位ごとに「スロットバリュー(契約金目安)」が設定されています!
各球団は、その年に保有する指名権のスロットバリュー合計額をボーナスプールとして与えられ、この範囲内で契約金を配分します。
どの順位の選手にいくら支払うかは球団の裁量で、戦略性が問われます。
ただしボーナスプール超過には厳しい制裁があり、5%超過で翌年の1巡目指名権剥奪などの重いペナルティが科されます。

11巡目以降は15万ドル(※年により微調整)を超えた分のみがボーナスプール計算対象となります。
再指名と交渉期限
ドラフト指名後の契約交渉期限は原則8月1日までです!
期限内に契約できなかった場合、その選手とは入団契約できず、球団は翌年のドラフトで同順位相当の補償指名権を得ます。
4年制大学卒業生や独立リーグ所属選手は、翌年ドラフト直前まで交渉可能です。
マイナー契約とトレード制限
ドラフト指名選手は原則としてマイナー契約のみ締結可能で、40人枠入りや出来高条項は認められていません!
また、指名年のワールドシリーズ終了まではトレード不可となります。
サービスタイム3年未満は年俸調停権がなく、FA取得は原則6年後です。
NPBのドラフト会議との違い
ここでは、日本プロ野球のドラフト会議との違いについて紹介していきます!
指名対象・年齢制限の違い
MLBドラフトは、主にアメリカ・カナダ・プエルトリコなどに居住する高校生や大学生が対象で、30球団が最大20巡、600人以上を指名します。
一方、NPBドラフトは日本国内の高校・大学・社会人・独立リーグ選手が対象で、指名人数は年間100~120人程度に限られます。
MLBではドラフト対象外の海外選手は国際FAとして別制度で獲得されます。
契約金と交渉自由度の違い
MLBではボーナスプール制度により球団ごとの契約金総額が制限され、スロットバリューを基に戦略的な契約交渉が行われます。
NPBでは球団全体の総額制限はなく、1選手あたりの契約金目安が存在するのみで、交渉自由度は比較的高めです。
比較表
それぞれのドラフトについて以下で比較しています。
| 項目 | MLBドラフト | NPBドラフト |
| 参加球団 | 30球団 | 12球団 |
| 指名方式 | 完全ウェーバー方式 +ロッタリー抽選 | 入札抽選 +ウェーバー方式 |
| 指名人数 | 600人以上(約20巡) | 約100~120人 |
| 指名対象 | 北米中心のアマチュア選手 | 日本国内のアマチュア選手 |
| 契約金制度 | ボーナスプール制あり | 総額制限なし |
| 育成環境 | 多層マイナー制度 | 2軍・3軍制 |
指名された日本人
MLBドラフトでは、北米の学校でプレーする日本人留学生も指名対象となり、加藤豪将(2013年2巡目:ヤンキース)や西田陸浮(2023年11巡目:ホワイトソックス、武元一輝(2025年19巡目:アスレチックス)などが指名されています!
一方、多くの日本人選手はドラフト外のインターナショナルFA(国際FA)制度で契約します。

留学して直接MLBを目指すという選択肢も増えており、今後指名される日本人が増えることが予想されます!
まとめ
今回は、MLBのドラフトについて以下を中心に紹介してきました!
- MLBのドラフトの仕組み
- NPBのドラフト会議との違い
MLBドラフトは、アマチュア選手を対象に戦力均衡を目的として実施される新人獲得制度です。
完全ウェーバー制を基本とし、ロッタリーや補償指名など独自ルールが組み込まれています。
近年は大学生や投手の上位指名が増え、即戦力と育成効率が重視されています。
NPBドラフトと比べ、指名人数やマイナー制度、契約金規模に大きな違いがあります。
日本人選手も条件を満たせば指名対象となり、近年は指名例が増加傾向にあります。
国際アマチュア制度や将来の国際ドラフト構想も含め、MLBドラフトは今後も注目必至です。
本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。






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